今回は、北条氏の紋として有名なみつうろこについて。そして三角形というカタチについて取り上げていきたいと思います。
1.北条氏について
北条氏は鎌倉時代の執権(しっけん)として有名な一族ですが、頼朝の妻で頼朝の死後は幕府の政務を見たことから尼将軍とあだ名された北条政子(ほうじょうまさこ)、元寇の時には全国の武士をまとめて国家総動員体制でモンゴル帝国の軍隊を撃退した北条時宗(ほうじょうときむね)、御成敗式目という武家の成文法の制定に尽力した北条 泰時(ほうじょう やすとき)などが有名でしょうか。
鎌倉幕府の初代執権だったのは北条時政(ほうじょうときまさ)ですが、平家全盛の時代で頼朝が伊豆で流人(るにん)として不遇の時代をすごしていた時に、頼朝が娘政子の婿になったことから頼朝の世話をしており、そこから鎌倉幕府というスタートアップの筆頭株主のような立場におさまって、幕府の重鎮となります。
2.太平記の北条時政の伝説
初代執権の北条時政(ほうじょうときまさ)が、子孫の繁栄を願って江嶋(えのしま)弁財天へ参篭(さんろう)したところ、麗しい女房(平安時代の女官風な大人っぽい美女をイメージしてください)の姿であらわれた弁財天から「前世で法華経を全国に埋めた功徳によって、汝とその子孫は天下を得るであろう」子孫繁栄の言葉をもらった伝説が残されています。
この時に、最初美しいう女房(にょうぼう)の姿で現れた弁財天が、最後に巨大な蛇の姿になって海中に消えた弁財天がウロコを3枚落としていったので、これからミツウロコを北条の家紋にしたのだとか。
弁財天をまつる神社ではミツウロコの紋のところがありますが、この三角が組みあわさった紋は水の神の象徴としての三角形であると言うことができるでしょう。
3.いろんな三角形
怪談話で幽霊が上向き三角形の白いものを頭につけていることがあります。これは天冠(てんかん)と呼ばれ、地域により様々な名前があるようです。紙冠(しはん)、紙烏帽子(かみえぼし)といった名前もあることから、死者にきちんとした服を着せるといった思いがあって始まった習俗ではないかと思われます。
縄文土器に三角形があるせいか、縄文弥生の衣装を復元みたいな話の時に三角や丸のシンプルな装飾はよく使われるようです。
姫路城のようなお城の城壁の鉄砲狭間にも丸三角四角や三角が使われています。ところで、おなじ三角形でも仏教の曼荼羅での上向き三角形は火のシンボルとして使われます。
ミツウロコで三角形を組み合わせて蛇を象徴するというところで、能楽の道成寺の衣装では大蛇となった清姫の衣装として三角形の文様が使われます。これは嫉妬の炎でその身を焼くキャラクターなので火の三角形にも見えますし、大蛇という水神に近いものになるという意味では蛇をあらわす三角形としても見ることができるでしょう。